訪問リハビリ仕事ってどんな感じなんだろう?
給料面などの待遇は?
高齢化社会が進む一方で医療は在宅で行う「在宅医療」への移行が進められ、リハビリテーション業界も訪問リハビリを提供する事業所が増えています。
今回の記事は理学療法士で訪問リハビリの仕事をしたいと考えている方に向けて、実際に働いた経験をもとに仕事の特徴やメリット・デメリットの解説や、質問に答えていきます。
訪問リハビリ実際の仕事内容などが知りたい
訪問リハビリの給料や待遇面などが知りたい
訪問リハビリに携われる職場について詳しく知りたい
訪問リハビリ業界のコロナの影響は?
訪問リハビリの今後の需要は?
PT・OTの訪問リハビリでの働き方
リハビリの専門家である理学療法士・作業療法士の訪問リハビリにおける仕事内容は大きく分けて上記の4つに分類されます。
次に訪問リハビリを提供するにはどういった職場に所属すればいいか見ていきましょう。
訪問リハビリを提供する事業所は2つに分けられる
まず、2種の違いを知る事が重要です!
訪問リハビリをおこなう理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、主に「訪問リハビリテーション事業所」または「訪問看護ステーション」に所属することになります。
次は、この2つの事業所の違いについて詳しく説明していきます。
訪問リハビリテーション事業所からの訪問リハビリ
訪問リハビリテーション事業所とは、基準を満たし申請を行った病院やクリニック、介護老人保健施設(老健)が提供する訪問リハビリサービスです。
訪問リハビリテーション事業所からの訪問リハビリは基本的には事業所に専任医師がいるので、連携が取りやすいというメリットがあります。(指示書の依頼、更新がスムーズでリスクの確認や経過報告がしやすい。)
訪問看護ステーションからの訪問リハビリ
訪問看護ステーションは医師や他の医療専門職、ケアマネジャーと連携し、訪問看護サービスを提供すること事業所です。
PT OT STが訪問看護ステーションからリハビリを提供する場合は訪問看護の一環として、看護師の代わりとしてリハビリを提供するという立場になります。
また、指示医は利用者さんのかかりつけ医になるため訪問看護指示書を依頼して書いていただく形になります。
訪問リハビリテーション事業所からの訪問リハビリ:自分の所属している病院や介護施設の専従医が定期的に診察や指示をしてもらい在宅でリハビリを提供するサービス。
訪問看護ステーションのリハビリ:利用者さんのかかりつけに指示をもらって、看護師の代わりに在宅でリハビリを提供するサービス
訪問のリハビリで働くPT・OT給料(年収)について
訪問リハビリテーション事業所(病院・老健)の給料(年収)
訪問リハビリテーション事業所は、病院からの異動や病院業務を並行して行なっている場合が多く、その場合所属はあくまでも病院(老健)のリハビリテーション科になります。
その為、病院勤務の給料と大きな違いはありません。
*目安となる年収相場 380万円〜500万円
(リハビリ系転職サイト3社調べ。地域によって若干相場の違いあります。)
訪問看護ステーションの給料(年収)
最近のコロナの影響や介護報酬の引き下げの影響を受けている訪問看護ステーションですが、どちらかというと病院(老健)などの訪問リハビリテーション事業所より給料が高い傾向にあります。
これは経営上のコスト(家賃、維持費、雑費)などが抑えられることから、ぞの分人件費に充てられるようです。
*目安となる年収相場 400〜600万円
(リハビリ系転職サイト3社調べ。地域によって若干相場の違いあります。)
訪問看護ステーションの給料(インセンティブ制とは?)
訪問看護ステーションによっては給与体制の中に一定件数以上の訪問件数を超えると手当がつく『インセンティブ制度』というものがあります。
例えば、固定給35万円✙ひと月に80件以上の訪問すると、81件目から1件につき4,000円のインセンティブ収入が発生するといった具合になります。
月100件(1日5件平均)では 35万+20×4000 = 月収43万円
月120件(1日6件平均)では 35万+40×4000 = 月収51万円
といった給与になります。
※インセンティブ制は若手セラピスト(3〜5年目)でも件数をこなせれば、年収500万円以上の高収入を目指すことも可能ですが、その反面注意点もありますので知りたい方は下記のQ&Aまで読み進めて頂けたらと思います。
訪問リハビリの実際の業務内容
- 健康の確認と管理(問診、バイタルチェック)
- 身体機能評価(病状や身体機能の把握)
- 身体機能訓練(ROM訓練、筋力訓練)
- 生活動作訓練(起居動作、立位・座位保持訓練、歩行、食事、排泄、着替えなど)
- 摂食嚥下訓練(口腔ケア、口腔体操、食事内容のアドバイスなど)
- 環境整備のサポート(住環境のアドバイスやセッティング)
- 福祉用具の選定(選定から使用法まで)
- 家族への指導(介助方法などのアドバイスなど)
カンファレンスへの出席
サービス担当者会議への出席
医師、ケアマネ、利用者のご家族との報告・連絡・相談
リハビリテーション実施計画書の作成・報告作業
リハビリテーション実施報告書の作成・報告作業
訪問リハビリの1日のスケジュール
「おはようごいざいます。」
1日スケジュールの確認やスタッフ間での共有事項を確認して訪問スタート。
午前の訪問件数は2〜4件が目安となります。
※直行直帰の場合もあります。
訪問先へは軽自動車やスクーター、自転車などで向かいます。
※スクーター、自転車移動の場合は天候次第では雨具が必須持ち物
午前中の訪問を終え、事業所に戻って昼食休憩になります。
※事業所に戻らず、外食し午後の訪問に向かう場合などもあります。
午後の訪問スタート。
午後の訪問も2〜4件が目安になります。
事業所に戻ってカルテ入力。
その他に申し送りや、ケアマネージャーへの電話連絡などをおこないます。
この時に看護師さんと情報交換することも大切な仕事の一つです。
一日の業務終了です。
「お疲れ様でした。」
上記のようなスケジュールに加え『サービス担当者会議』があったり、月末には『計画書や報告書の作成業務』などが入ってきます。
訪問リハビリの働き方 Q&A
ここからはQ&Aコーナーです。
セラピスト視点のリアルな情報がお伝えできればと思います!
Q1 インセンティブ制ってぶっちゃけ儲かるの?
訪問リハビリの利用者さんは当然ですが介護認定者の方なので、低体力の方や重い病状の方も多いため体調不良や病院受診で急遽、訪問キャンセルになったり入院で長期休みになることもあります。
インセンティブで安定した収入得るには新規の利用依頼が多くある事業所に所属し、安定した訪問件数がこなせる環境が大事です。
またインセンティブ制は月収が高くなる半面、賞与(ボーナス)がない事業所も多くあるので注意が必要!
- 給与形態の確認
- 月の平均新規利用者数の確認
- ボーナス・賞与の有無
転職する際は事前に確認をしておきましょう。
Q2 1日の平均的な訪問件数とMaxで行ける件数を教えて
基本的な訪問時間は60分ないし40分なので、移動時間を最大効率でスケジュールして1日Max訪問できて8件になります。
平均の訪問件数は5〜6件でスケジュールされることが多いですが、体調不良や入院などのキャンセルが発生することも考慮すると実際の1日平均訪問件数は4〜5件になります。
Q3 訪問リハビリに転職して最初に苦労したことは?
訪問リハビリの仕事は電話での連絡・報告業務(利用者さん・利用者のご家族・医師・ケアマネージャー・ソーシャルワーカーなどと連携)が必要不可欠です。多い時は1時間電話が鳴りっぱなしという時もあります。
病院勤務セラピストの方は電話対応に慣れてない方が多いいですが・・・電話対応の基本を学んでこなしていけば
1月くらいすれば大分慣れるのでご安心ください。
Q3 訪問リハビリの将来性はどうなの?
『訪問リハビリテーション事業所』と『訪問看護ステーション』で将来性は変わってきそうです
近年の介護報酬改定の流れを見ると将来性が予測できます。
(*介護報酬は3年に一度大幅な改定があります。)
訪問リハビリテーション事業所の将来性
最近の介護報酬の単価推移を見てみましょう。
平成27年度 | 平成30年度 | 令和3年度 |
290単位 | 292単位 | 307単位 |
最近の改定で単位数の推移を見ると年々増加傾向にあり
訪問リハビリテーション事業所は期待されていると言っていいでしょう。
訪問看護ステーションの将来性
では訪問看護ステーションの介護報酬の単価推移を見てみ見ると・・・
平成27年度 | 平成30年度 | 令和3年度 |
302単位 | 296単位 | 293単位 |
このように訪問看護ステーションからのリハビリの単位数は減少傾向にあります。
要支援 | 283単位 |
要介護 | 293単位 |
さらに1日3回以上の場合要介護の方であれば1回あたりの単価が90/100に、要支援の方は1回あたりが50/100に減算なりました。
上記のように令和3年度の介護報酬改定では、訪問看護ステーションにおけるリハビリテーション提供のあり方について大きな改定があり、セラピストによるリハビリ提供の評価点数が下がっただけでなく、セラピストによる訪問リハは看護の一環であるという位置付けがより明確化されました。
訪問看護ステーションからの訪問リハは厳しい状況になってるのが現実です。
Q3 訪問リハビリに向いている人の特徴は?
訪問リハビリに向いて人の資質をあげるとキリが無いですが
僕の経験上『報連相がまめにできる』ことと『身体が小柄な人』が向いていると思います。
ケアマネや利用者さんの家族に対して報告がまめにできると、信頼が上がり新規の利用者の獲得につながるし、看護師との連携も重要になってくるので事業所内での連絡・相談は仕事をスムーズに行うために必要不可欠です。
もう一つは『小柄な人』です。正確に言うと身体が大きい人は訪問リハビリに向いていない場合があります。
利用者さんの住環境は様々で、狭い空間でリハビリしないといけない場合やベッド上でリハビリをする場面があるので、ある程度小回りのきく骨格の方が訪問リハビリに向いていると思います。
Q4 訪問リハビリで最初に苦労したことは?
訪問リハビリの仕事は電話での連絡・報告業務(利用者さん・利用者のご家族・医師・ケアマネージャー・ソーシャルワーカーなどと連携)が必要不可欠です。多い時は1時間電話が鳴りっぱなしという時もあります。
病院勤務セラピストの方は電話対応に慣れてない方が多いいですが・・・
電話対応の基本を学んで対応していけば、1月くらいすれば大分慣れるので安心くださいね。
Q5 コロナ禍の影響は?
新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの事業所が営業の制限を余儀なくされ、厳しい経営状況に陥っています。
訪問リハビリもコロナ感染リスクの懸念から利用者のキャンセルや訪問の自粛などが続き、一人あたりの訪問件数が減少傾向にあります。そうした状況の中で新規・中途採用を積極的に行わなくなった事業所もあるようです。
現在は(2022・12月)徐々に利用者さんが戻りつつある状況のようですが、コロナ前の水準には達していない事業所が多いです。
Q6 訪問看護ステーションに転職する際の注意点は?
『給与などの条件面』や『新規利用依頼が多く経営が安定していそう』など選ぶポイントはいくつかありますが
看護師とセラピストの在籍比率にも注意しましょう。
訪問看護ステーションでは年々、看護よりリハビリ主体のリハビリ系訪問看護ステーションが増えており、この傾向に厚生労働相や訪問看護協会が意を唱えました。
今まではPT・OT・STのみで訪問リハビリ介入できましたが、現在は最低3ヶ月に1回は看護師が利用者の元に訪問し情報共有しなければいけないという制度に改正されました。
リハビリが強い訪問看護ステーションは牽制される傾向にあるので注意しましょう。
結論は看護師6:セラピスト4くらいの比率のステーションを選びましょう!
参考:【2022最新版】現役の理学療法士が選ぶべき転職サイト7選を徹底比較
訪問リハビリ業界に転職する際の4STEP
『訪問リハビリテーション事業所(病院・老健)』or『訪問看護ステーション』
あなたの転職で実現したい優先事項は何?
・年収アップ
・スキル・経験値アップ
・ワークライフバランス
・管理職を経験する
・職場の雰囲気
転職サイトや転職エージェントを使って情報収集
転職する前に必ずチェックするべきポイントをリストアップ
応募書類の作成から面接対策
①転職の軸を決める
年収アップを優先したい→訪問看護ステーション
将来性・安定収入→訪問リハビリテーション事業所
管理職経験・出世・チャレンジングな仕事をしたい→多店舗展開している訪問看護ステーション
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②情報収集
- 開業してからの年数
- 給料形態の確認
- 福利厚生・社会保障の確認
- 看護師と理学療法士・作業療法士の割合
- 新規依頼件数がどれくらいか
- 営業活動の有無
- 訪問時の移動手段の確認(自転車orバイクor車)
- 職場環境は?退職率?有休消化率?
上記のような項目を確認し、事業所をしぼっていきます。
いくつもある求人から自力で全部確認するのは大変!
転職エージェントは無料で利用できるので、要望を伝えて応募先をピックアップしてもらおう!
参考:【2022最新版】現役の理学療法士が選ぶべき転職エージェント7選を徹底比較
③応募
焦ってたくさんの訪問事業所に応募出してしまうと、その後の対応がめんどくさいです。
応募先個別に応募書類や面接対策しなければいけないので多くても3社にしぼりましょう。
ここではブラック事業所を見極める方法を紹介します。
ずっと募集している訪問事業所
不気味に給料が高い訪問事業所
上記の2つに当てはまる事業所は警戒して、応募するにもよく調べてからにしましょう。
応募書類の作成・面接対策は下記の記事を参照下さい。
参考:【例文あり】理学療法士の履歴書・職務経歴書の書き方。保存版!
参考:理学療法士の面接対策はこれ!面接官が教える【質問&回答例あり】
④内定〜退職手続き
内定通知を受け取ったら、自分が最初に行った「転職の軸」と今回の転職が合致しているか再度確認しましょう。
転職活動に夢中になっていると、そもそもの転職で優先したい項目がとんでしまっていることもあるので、ここで最終確認
次に「入社日」「給料」「休日」などを採用担当と再確認し内定を承諾します。
転職エージェントがついていると「労働条件に食い違いがあった場合」に交渉してくれるので心強いですよ!
後は円満退職できるように、現職場での退職の報告〜引き継ぎをしっかりして退職日を迎えましょう。
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