理学療法士を辞めたい「仕事がつらい、行くのも嫌だ」その理由と対処法は?

理学療法士としてのキャリアは、多くの場合、高い専門性と深いやりがいを持ち合わせていますが、同時にストレスや職業疲労、職場での問題に直面することも少なくありません。

資格取得するために費やした時間や実習をクリアし、国家試験に受かってようやく手にした資格なのに「理学療法士を辞めたい」「仕事に行くのもつらい」と悩んでしまうこともあるかと思います。

このような状況を長年、我慢するのは良くないです。

この記事では、理学療法士の仕事を辞めたいと考える理由と、そのような決断に至る背景、さらに転職を考える際の選択肢、理学療法士意外の道へ進んだ方のエピソードについて詳しく解説します。

もし今、あなたが職業的な悩みに立たされているのなら、この記事が新しい道を見つける一助となると幸いです。

この記事をおすすめしたい方

・理学療法士の仕事を辞めたい理由とその対処を知りたい。
・理学療法士辞める前に考えるべき事を知りたい。
・「仕事を辞め時サイン」身体に現れる不調。
・理学療法士意外で働く方法を知りたい。

目次

理学療法士の仕事の概要と魅力

理学療法士という職業は、患者の身体的な問題を評価し、適切な治療プランを立てて実施することで、生活の質を向上させるという社会的な意義があります。

理学療法士の魅力は、直接的に人の健康と幸福に貢献できる点にあります。多くの理学療法士は、患者が自力で歩けるようになる瞬間や、日常生活の動作が改善される姿を見ることに大きなやりがいを感じています。

また、病院やクリニックだけでなく、スポーツチームや老人ホームなど多様な勤務地が選べる点も魅力の一つです。

理学療法士が直面する一般的なストレス要因と職業疲労

しかし、理学療法士の仕事にはストレスが伴うことも少なくありません!

患者の状態がなかなか改善しない場合や、治療の進捗に患者やその家族から強い期待をかけられた場合、大きな精神的圧力を感じることがあります。

また、身体を使った治療を行うため、自身の肉体的疲労も無視できません。加えて、医療現場特有の労働環境やシフト勤務は、生活リズムの乱れや社会的な孤立感を引き起こすことがあり、これが職業疲労につながるケースも多く見られます。

理学療法士が仕事を辞めたくなる主な理由

転職大手のマイナビによるアンケート。リハビリ職の年代別・転職理由は以下の通りです。

リハノメチャンネル(リハスタッフの失敗しない転職の進め方)より
理学療法士が仕事を辞めたくなる主な理由

①給料・待遇面の悩み
②仕事、業務面の問題や悩み
③職場環境の問題(人間関係・労働時間・休暇)
④燃え尽き症候群と精神的な負担
⑤家庭の都合

①給料・待遇面の悩みで辞めたい

理学療法士を辞めたくなる理由として圧倒的1位が「給与・待遇面」の問題です。

理学療法士としてのキャリア中で、しばしば昇進や給与増加の機会が限られていると感じる事が多くあります。

頑張って仕事をしているのに、給与面で評価してくれなければモチベーション下がりますよね。

下記は理学療法士の平均年収と全業態の平均年収の比較です

理学療法士の平均年収は431万円(平均年齢は34.7歳)
男性は448万円、女性は412万円

給与所得者全体の平均は463万円(平均年齢43.7歳)
※データは理学療法士の他に作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士を含む
(出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」)

初任給から大きく変わらない給与水準や、専門的なスキルが高く評価されにくい環境は、モチベーションの低下を招きます。これは診療報酬や介護報酬などの制度の影響が強くあります。

さらに、専門職としての継続的な教育や資格取得にはコストと時間が要求されるため、それに見合う経済的なリターンが得られないと感じると、職業への熱意を保つことが難しくなります。このような状況は、理学療法士が他の分野や職種への転職を考える重要な要因となっています。

②仕事、業務面の悩みで辞めたい

  • 病院独自のしばりがあって、やりたいリハビリが提供できない
  • 病院の制度上、十分なリハビリが提供できない。
  • カルテや書類の作成に時間がかかってしまう
  • 勉強会・研究発表など業務以外でも忙しい
  • 人手が足りず、業務が追い付かない

上記のような仕事・業務面の悩みはリハビリ業界によくある問題です。

仕事・業務面の問題は個人が努力しても改善できない事も多くあります。

上司に相談しても動いてくれない事もありますよね。

このように、職場内で慢性的に業務面の問題が放置されてしまっていて辞めたくなるケースもよくあります。

③職場環境の問題点(人間関係、労働条件・休暇など)

理学療法士の仕事環境では、人間関係の複雑さや労働条件の厳しさが大きなストレス源となることがあります。

人間系によるストレスは理学療法士を辞めたくなる理由の上位に入ります

例えば、チーム内のコミュニケーション不足や上司との意見の食い違いは、職場での孤立感を生み出しやすく、仕事への情熱を損なう原因になります。

また、不規則な労働時間や過剰な残業は、私生活とのバランスを崩し、理学療法士自身の健康を脅かすこともありますし、自由に有給休暇を取得できない職場も多くあります。これらの環境が原因で、多くの理学療法士が早期に退職を考えるようになります。

④燃え尽き症候群と精神的な負担

理学療法士は、患者の回復をサポートする過程で強い感情移入を伴うことが多く、それが過度になると精神的な疲弊や燃え尽き症候群を引き起こす可能性があります。

長期にわたるストレスは、業務に対する意欲の低下や職業に対する疑問を感じさせることがあります。特に、成果が目に見えにくいケースでは、自己の努力が報われないと感じることが増え、これが大きな負担となり得ます。

⑤家庭の事情

理学療法士を辞める理由として「家庭の都合による場合」もその一つです。

家族を持つ理学療法士にとって、子育てや家族の介護など、家庭生活と職務のバランスを取ることは一大課題です。特にシフト制や長時間勤務が求められる医療現場では、家庭のニーズと仕事の要求が衝突しやすくなります。

このような状況は、職場を離れざるを得ない大きな要因となることがあります。

理学療法士を辞める前に考慮すべきこと

いったん自分自身の気持ちを整理してみましょう。

場合によっては職場を変えることで問題が解決できることも多くあります。

また、冷静に考えてみて別の業界に転職した方が良い場合もありますので、今回の記事を参考に気持ちを整理し、活き活きと働くためのきっかけにして頂けたら幸いです。

理学療法士を辞める、もしくは転職する前に状況を整理し改善できることはないかチェックしてみましょう。

①自己分析:なぜ辞めたいのか、その原因と解決策
②職場の問題を解決するための具体的な方法
③ストレス管理と自己ケアのテクニック
④休職して、気持ちの整理をしてみる
⑤理学療法士を辞めたい?それとも今の職場を辞めたい?

①自己分析:なぜ辞めたいのか、その原因と解決策

転職を考える前に、自身の気持ちを深掘りすることが重要です。

理学療法士としての仕事に対してなぜ不満を感じているのか、その具体的な理由を明確にしましょう。例えば、仕事の内容、人間関係、給与、キャリアの成長性など、不満の根源を特定します。この過程で、問題が内部的なものなのか、職場環境由来のものなのかを区別し、可能であれば解決策を模索します。自己の価値観とキャリア目標を再評価することで、転職が本当に自分にとって最適な選択かどうかが見えてくるでしょう。

②職場の問題を解決するための具体的な方法

職場の問題が転職を考える大きな理由である場合、その問題に取り組む方法から始めることが大切です。

人間関係が問題の時は、より良いコミュニケーションを心がけたり、職場での仲介を試みることが効果的です。労働条件の問題には、労働組合や人事部と話し合いを持ち、状況を改善できるか探りましょう。一人で解決できない時には、外部の専門家やカウンセラーに相談するのも良い選択です。これらのステップを踏むことで、職場の問題を解消しやすくなります。

③ストレス管理と自己ケアのテクニック

理学療法士としての職務は、肉体的および精神的に要求が大きいため、効果的なストレス管理と自己ケアが必須です。

日々の業務において瞑想、ヨガ、適度な運動を取り入れることで、ストレスを軽減することができます。また、趣味や社交活動を通じて心のバランスを保つことも大切です。定期的にプロのカウンセリングを受けることで、職場のストレスに対処する新たな視点を得られる場合もあります。自分自身をケアする時間を意識的に作ることが、職業生活だけでなく私生活の質を向上させる鍵となります。

④休職して、気持ちの整理をしてみる

一定期間の間、休職して気持ちをリセットするという選択肢もあります。

休職とは、個人の事情によって仕事を長期間休むために、会社に籍を保ちつつ休む制度のことです。

休職については法的な基準が設けられていないため、企業によって休職の条件が異なります。通常、休職期間中は給与の支払いがなく無給となることが多いですが、病気で休職する場合は、健康保険から休職前の給与の三分の二相当の傷病手当金が支払われることがあります。

⑤「理学療法士を辞めたい?」or「今の職場を辞めたい?」

理学療法士の仕事自体が嫌になっているケースもあるので、一度整理してみます。

今の職場を辞めたい場合デメリット
•上司パワハラがきつい
•人間関係がギクシャクしている
•そもそも職場がブラック
•給料安い
•仕事を評価してくれない
•患者さんとのコミュニケーションがつらい
•リハの仕事がプレッシャーに感じる
•リハ以外にやりたいことがある

上記のように整理し、辞めたい理由が明確になれば、対応方法がわかってきます。

仕事の辞め時か?身体に現れる「辞め時サイン」

仕事の悩みを放置していると、ストレスも限界を超えて心身に影響が出るようになってきます。

  • 朝出勤時に体調が悪くなる
  • 疲れているのに寝付けない
  • 仕事の事を考えると涙が出てくる

上記のような身体に現れるサインが出はじめたら、無理は禁物です。

そこまで我慢する必要ないですし、身体を壊してしまっては元も子もないです。

仕事をやめることに対して罪悪感を持つ必要はなく、「資格を持つメリット」である転職のし易さを活かして新しい新天地で働くことを検討してみてはいかがでしょうか?

今の職場を辞めたいは、大抵「転職することで解決できる」

転職することで、様々なポイント解決することができます。

転職で改善できるポイント

  • 年収を上げる
  • 人間関係をリセットする
  • やりがいのある分野で仕事する
  • ワークライフバランスをを整える
  • 管理職を経験する
  • スキルを身につける
  • 穏やかな雰囲気の職場で働く

こんなにも転職で解決できるポイントがあります。

ただし注意したいことは、最優先で改善したいポイントを軸に職場選びをするということです。

完璧にすべての条件が整っている職場というのありません。

自分の不満に思っている点は何か?そして、それを改善するために転職の軸を何にするかを決めましょう。

職場を辞めた後は収入どうする?

収入がゼロになる心配で仕事を辞めれない方も多いのではないでしょうか?

仕事を辞めても条件を満たしていれば失業手当てをもらう事ができます!

失業手当でもらえる額は、大まかには前職の給与の5割から8割となります。

詳しい受給額は、「給付日数×基本手当日額」で決まります。以下が計算式です。

基本手当日額 = 賃金日額(退職前6カ月の賃金合計÷180) × 給付率(50~80%)

基本手当日額と賃金日額には、それぞれ上限額と下限額が設定されています。(令和5年時点のもの)

離職時の年齢賃金日額の上限額基本手当日額の上限額
29歳以下13,890円6,945円
30~44歳15,430円7,715円
45~59歳16,980円8,490円

理学療法士を辞めるというキャリアオプション

・医療現場でのコミュニケーションが嫌になった
・患者さんと向き合うのがプレッシャーで耐えられない
・他にやりたい仕事ができた

上記の項目に当てはまった方は、「理学療法士の仕事」自体を辞めるという選択もアリかと思います。

つらい思いをして働くよりやりがいがあって気持ちよく働ける方がいいですよね。

今と違うリハビリ分野を経験してみる

理学療法士としてのキャリアを築きながら、異なるリハビリ分野に挑戦することは新たな刺激と成長の機会をもたらします。

たとえば
通常の病院勤務クリニック勤務
クリニック勤務スポーツリハビリテーション
高齢者向けの介護施設小児のリハビリテーション

上記のように前職場の経験を活かしながら新しい技術を習得し、異なる患者層との接点を経験することができます。

これは、技術的なスキルはもちろん、コミュニケーション能力や臨床判断力を広げると共に前職場で辞めたいと悩んでいた事が解消される場合も多くあります。

新しい分野への挑戦は、PTとして新たな活力をもたらすかもしれません。

理学療法士のスキルを活かせる他職種

理学療法士が持つ解剖学、生理学の知識や患者へのコミュニケーション能力は、他の多くの職種でも高く評価されます。

例えば、健康分野や医療機器メーカーにおけるプロダクトマネージャーやセールスのポジションでは、医療知識を活かして製品の説明やマーケティング戦略の策定に役立てることができます。

また、企業の健康管理部門で働くことにより、従業員の健康促進やリハビリテーションプログラムの立案に貢献することも可能です。

近隣分野への転職例(スポーツトレーナー、ウェルネスコンサルタントなど)

理学療法士の技術と経験は、スポーツやウェルネス業界で非常に重宝されます。

スポーツトレーナーとしては、アスリートのパフォーマンス向上と怪我の予防管理を担当し、競技能力の最大化をサポートします。ウェルネスコンサルタントとしては、企業や個人に対して健康維持と生活習慣の改善アドバイスを提供し、より健康的な生活スタイルの実現を助ける役割を果たします。さらなる学習と資格取得の機会

まったく別分野の仕事でもできる

思い切ってリハビリの仕事以外をやってみるという選択肢もあります。

飲食店や接客業など無資格でも働ける仕事は世の中にはたくさんあります。

そして、資格を持っている強みはいつでも戻ってこれるということです。

気持ちがリセットできたら、またリハビリ関係の仕事を探し出す。こういった仕事の形もありなのではないでしょうか。

実際に職を変えた理学療法士からのアドバイスと体験談

理学療法士をやめても生きていく道は多くある 

・転職の成功例とその過程
・失敗談とそれから学ぶべき教訓
・転職後の生活の変化と新しい仕事への適応

転職の成功例とその過程

私の知り合いの理学療法士は、自身のスキルを生かして健康技術のスタートアップに転職しました。

彼女は、理学療法の専門知識を活用して、新しいウェアラブルデバイスの開発に関わり、その製品が患者のリハビリテーションにどう影響するかの研究を担当しています。

理学療法士と親和性の高い業界へ転職したわけです!

その成功がきっかけで、下着メーカーと機能的なコンディショニングウェアの開発に携わっています。

転職を成功させるためには、自分の専門知識を新しい分野にどう適用できるかを理解し、積極的に関連する研修やセミナーに参加することが彼女の成功に繋がりました。

失敗談とそれから学ぶべき教訓

別の理学療法士は、完全に異なる業界であるIT業界への転職を試みましたが、業界知識の不足と文化の違いに苦労しました。

この体験から、彼は業界の研究の重要性と、転職先の企業文化が自身に合っているかどうかを事前によく理解することの大切さを強調します。また、転職活動は時間をかけて慎重に行うべきだという教訓を受けました。

転職後の生活の変化と新しい仕事への適応

理学療法士の仕事を辞めて別の業種で働く場合、できれば20代のうちに決意した方が良いです。

なぜなら、医療業界と一般のビジネス業界では根本的な考え方が違うからです。

一般のビジネスの世界では利益を上げる事を考えるのに対し、医療では患者さんに対してプラスに貢献することを考えます。

医療では処置に対し保険点数が決まっているし、患者さんから多くの利益を上げようとは考えませんよね。

このように長く医療業界にいると、一般のビジネス社会との考えのズレが大きくなるので、医療・介護業界に以外に移りたい方はできれば20代のうちに決断した方が良いかと思います。

まとめ:理学療法士として次に踏み出す一歩

自分に合った選択をするための最終的なアドバイス

理学療法士としてのキャリアに疑問を感じたり、新たな道を模索している場合、自己反省と外部からの意見を基に決断を下すことが重要です。

自分の価値観、キャリアの目標、そして生活の優先順位を明確にし、それに基づいて選択肢を評価してください。可能であれば、キャリアコーチやメンターに相談し、自分自身が見落としている可能性のある選択肢や視点を指摘してもらうことは有益です。

最終的には、長期的に満足できるキャリアプランを描き、次の一歩を踏み出すことが重要です。

またいきなり、まったく違う業界へ転職するのではなく理学療法士の業界の中で違う分野への転職や医療と親和性の高い業界への転職を模索することで、より確実に次のステップを踏み出すことができるかと思います。

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